現代中国の産業
- 作者: 丸川知雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/05
- メディア: 新書
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読んだ。
中国の強みは垂直分裂ともいうべきモジュール化を中心とした営みであるらしい。
互換性のない部品にはアダプターを適用することにより互換性を保つ。この互換性を効率的にコスト/価格に反映させる為に、調達先を増やし部品毎での価格競争を促進し、スケールメリットを追求する。
さらに主要部品の自主生産には手を出さないことにより研究開発、設備投資を抑える。代わりにパッケージング(最終製品形態)に力を注ぐことにより、ブランド力を浸透させる。
そして計画経済時に培われた「技術は国有企業で共有するもの」という発想が、よくも悪くもコピー製品を生みだし、垂直分裂モデルを浸透させる背景となった。
特に自動車産業では地域産業保護施策が上記のような産業と結び付きなんと自動車メーカーが地場産業として成立するという状態になっている。(自動車メーカーは全国に153社と書かれてある)
なんというかとても効率良いと思った。いまは価格競争力でしか語られないが、この先にひかえるのはこの効率を生かした上でのインターフェースとインテグレーションの追求であるはずで、インターフェースについてもインテグレーションにしても背景としての高効率をバックにすえたものになるはず。
日本がまなぶべきものも確実に中国にあると思った。
ちなみに中国はコピーばっかりという認識は間違いではないのだろうが、ソフトウェアやDVDの不正コピーは「技術は国有企業で共有するもの」というのを叩き込まれた前提ととらえるなら、それは中国人が悪いとかせこいではなく、文化が違う上で起こったものとして捉えるべきものなのだなと思った。