博士の愛した数式

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)


今更ながらに読んだ。実は去年の夏に買っていたのだけど、石川にもっていくのを忘れていて、最近掃除中に見つけた。

読んでいるとちょっと変な感じ。80分しか記憶がもたない博士は日々がほとんど続いてなくて、でも主人公である私と息子のルートの毎日は続いていて、なんというかかみ合わない日々を無理矢理噛み合わすといったような生活を描いている。しかし、それがときに残酷でときに都合が良く話が進んでいく。

文章としてみると起承転結がはっきりしていて、関係を表すためのキーワードとして、完全数や友愛数、その他数学にかかわるキーワードなどがでてきて、それらについての説明もある。そして事件や心理描写を暗喩、暗示していく。

が、感想としては最後の盛り上がりがないように感じた、ありていにいえばしりすぼみな気がした。心あたたまる話で設定もおもしろいのだが、俺にはわかりやすい最後以外を楽しむための基礎がなっていない。

映画でみるなら挿入音楽や映像効果で盛り上がりの補助が効いておもしろいかもしれないけど、想像力がないせいか俺では小説だと楽しめないと思った。