ペニーオークションは多分ソーシャルアプリの大本命
ゼロベースの人がペニーオークションについて書いてます。
http://zerobase.jp/blog/2011/01/post_90.html
ペニオクの「入札自体に課金する」という仕組み(アイデア)そのものを「政治的に絶滅させる」のは避けた方がよい。
(中略)
じつは私も多くのペニオク業者が悪徳業者だろうと考えています。それでもなお、健全な業者がいるかもしれない以上、十羽一絡げにペニオクを規制する(ましてやペニオクを禁止する)のは誤りだと考えます
については全面的に同意です。
個人的にはペニーオークションについてはいくつかのアイデアがあり、それを実装することで健全性のアピールができるのではないかと思っており、またペニーオークションに一工夫加えることによりとても良い性質が生まれると思っているので、それを書いてみます。ビット課金、ビット料金と書いているのは入札(ビット)にかかる手数料です。
- フェイスブックアプリ、ソーシャルアプリとして実装し、落札者のタイムライン(ウォール、ボイス)などに落札したことを書き込む。
- 落札した人がモノを受け取った際にそれを証明してもらう。例えば落札したモノを送る際に確認コードを送って入力してもらう。入力されるまでは他のオークションに参加できない。
- オークションの入札金額の上限を決める。ビット課金の合計が、価格にある程度の上乗せをした金額になると自動的に落札するようにする。
1、2は詐欺的運営の否定です。誰が落札したかについて実在の人が落札したかを示すことでサギ的運営を否定します。またソーシャルネットワーク上で知り合いがオークションで落札したことは他の人への参加を促すことにもなるでしょう。
当たったことをタイムラインに書けば、Likeやいいね。などがきっとつくでしょう。そういうのが付くこと自体が、実在の人が落札しているのだという空気を熟成する上で重要です。落札したものを写真でアップすることを強制しても良いでしょう。
また、この人達自身が実在の人である。サクラでないということを証明する必要もありますが、Facebookのように実名主義を掲げているSNSならば信頼度は増すでしょう。FBは実名登録ではないアカウントの停止などをやっているようですが、そういった施策により、信頼性はより高まるでしょう。
3は入札金額の上限を決めることでオークションの運営側が暴利を貪っているわけではないこと、上限落札金額へのビットで確定というギャンブル性の向上ができることがあげられます。
ECサイトの商品をペニーオークションに出品する場合、商品の価格が仕入れ値で、ビット課金の総計が売上となるわけで、この売上が仕入れ値の数十倍から数百倍になっていること。売上が入札金額と連動していないことが暴利を貪る原因となる問題です。ならば最初から落札金額を決めておいてその金額に入札した人が落札するようにすれば、よいとおもうのです。
その金額が仕入れ値5000円で2割利益が欲しいのであれば、1円オークション、1ベット50円として延べ120人。
5000円 * 1.2 / 50 = 120
10人がそれぞれ12回づつ入札したと考えると落札者は720円(入札金計600円 + 落札価格120円)で5000円の買い物ができることになります。
ペニーオークションの本来の効果はこのように計算した場合入札参加者が入札に支払うお金の合計と得られる価値を比較して、入札にかかる金額の方が圧倒的に小さく、またその絶対額も入札者からみたときに諦めのつく価格である場合に大きく効果を発揮するものです。*1
例としてはアーティストが寄付のためのオークションを開く場合などが効果的です。
アーティストでは持ち物をオークションに出品し、その収益を慈善団体に寄付することがありますが、このときに一部の高額所得者により、入札価格が高騰し、一般人の参加の意義が消し飛ぶ場合が話題になることがありましたが(今でもあるのかな?)、このようなときにペニーオークションの仕組みと3の案を組み合わせれば、一般人にも参加の意義があり、寄付金の額を設定可能とすることができます。
例えばアーティストがギターをオークションに掛けたお金を寄付したいとします。オークションサイト上乗せ分10%、落札希望価格5000円の1円オークション、1ビット50円とすると、
5000円 * 1.1 / 1 * 50 = 275000
計275000円の売上で、オークションサイトが2万5千円、寄付金25万円に分配します。
この場合、入札者は延べ5500人、最終落札金額は6000円ですが、
売上や入札者の調整はビット料金と入札価格上昇分で調整できます。
例えば価格上昇分を0.1円にすれば(計算上は可能)、その場合は売上は10倍(275万円)になります。
実際には上乗せ分はある程度の幅(10 - 15%など)の中からランダムな値にするのでしょうけど、一般人に手が出る価格であることは間違いありません。また延べ5500人の入札は、人気のあるアーティストなら簡単でしょうし、また一人が5500回入札することは(高いブランドをもつアーティストでかつ、ペニーオークション形式では)ほぼ不可能です。高いブランドをもつアーティストなら、一般のファンにプレゼントするスキームで高額の寄付金を集めることができるでしょう。
特にソーシャルゲームでのアイテム課金の関係でSNS独自のポイントや、その他のマイクロペイメントが成長分野であるため、入札自体に課金する仕組みは、ブランドをお金に換えるものとして次の時代の花形になる可能性を秘めています。
また高いブランド向けには短時間に大量のリクエストを捌く高い技術力が望まれる一方、このようなボランティア活動を日常的に組織するには営業力が必要です。
営業力がない場合、日々商品を探してきてペニーオークションを開催するわけですが、ECサイトの商品を単純にペニーオークションに出品するだけでは、過当競争となるだけなので何か工夫を考えなくてはなりません。まあしかし、ブランドと同様に好奇心をお金に換える仕組みとしても使えそうですので、何かしらいい手法が発明されるのでしょう。
他にはAppleならiPhone5のベータテスターならお金払ってでもやりたいなんて人もいるでしょう。そういう場合にもこんな仕組みを利用してフィードバックの改善費用として充てることも可能じゃないかなと思います。